中風(卒中)
中風 卒中ともいう
突然昏倒し、人字不省となり、あるいは突然に口眼喎斜し
半身不随となり、言語不利となる病証を指す。
傷寒論には、
「太陽病証、発熱、汗出、惡風、脈緩なるもの、名付けて中風という」とある。
療治之大概より
中風に四つの証あり
偏枯とて手足の痿也
風痱、身に痛みなくして手足不随
風懿、人をも見知らぬなり
風痺、身のしびれるなり
百会 肩井 曲池 三里(足) 三陰交 風市 絶骨
左を中風すれば右、右を中風すれば左を鍼する。
鍼灸遡洄集より
中風
中風は、新中風と類中風に分かれる。
初め麻木し、疼痛するものは、風湿による
右半身不遂し、手足癱瘓するものは気虚と痰に属す
手足癱瘓し、口喎み話の渋るは、血虚と火盛とに属す
手足癱瘓し、舌強ばり塞言するものは、虚熱に属す
手足癱瘓し、半身痰弱して動くこと能わざる者は虚寒に属す
真中風(卒中、卒中風)
外来の風邪が虚に乗じて入る
類中風
七情と風湿痰火に因る
半身不遂し、偏風を患うものは、肩髃、曲池、列缺、手三里、合谷、陽陵泉を浅く刺す。
右痰するものは、左の合谷、手三里、陽谷、陽輔、崑崙、絲竹空を刺す
脊の半折する者は、風府、瘂門を深く刺す
※浅くというのは、五分以下、深くという、のは五分以上を指す
口眼喎斜には、大淵、列缺、申脉、二間、内庭、行間を浅く刺す
口禁開くよしからずして、失音し牙関頬腫れるには、頬車、承漿、合谷を浅く刺す
手足挙がらず痛み麻痺し、灼攣眼に連なり腫れ赤く痛むには、頭旋、足の臨泣を浅く刺し、久しく留めて効あり
血虚と気虚と湿痰とを主るは、風市、風池、環跳を深く刺し、神闕、百会、曲池、肩髃を灸刺す可し
偏風口喎して目を閉じることを得ず、失音して語らず飮食収まらず水漿の漏れるには、地倉、大迎、翳風を浅く刺す
肘の屈むこと能わざるには、中渚、腕骨を浅く刺す
偏腫には、内関、衝陽を深く刺す
中風の瘖瘂には、支溝、間使、霊道、陰谷
口禁して開かざるには頬車、承漿、合谷を深くさす
※偏枯
片側の上下肢が自由にならず、あるいは疼痛をともなう。
精神に異常はみられない
營衛ともに虚し、真気が全身を充たすことが出来ず、あるいは邪気が侵襲して発する
※風痱
中風の後に発する偏枯である。痛みはないが四肢収まらず、精神に異常はない。
※風懿
突然に人事不省となり舌が強ばって話すことが出来ず、喉に閉塞感があり、
甚だしい場合、ああ、ああ、としか声がでない。中風病の風が藏府に中ったものに属す。
※風痺
痺証の一種、風寒湿の邪が肢節、經絡を侵襲し、その中でも特に風邪の甚だしい痺証
又、周痺、行痺、走注ともいう。